リブロス総合会計事務所のスタッフSです。
原宿のクライアントさんに向う途中、巨大うなぎパイに遭遇しました。
表参道にオープンしたうなぎパイ専門店だそうです。
さて、
業種にかかわらず個人事業をしている方から、
事業を法人化したほうがいいのか、
法人化のタイミングはいつなのか、とよく質問されます。
そこで
法人化のメリットとデメリットを
1.税金面、2.必要経費面、3.経営面に分けて紹介します。
1. 税金面
給与所得控除
給料という形で所得を得るようになるので、給与所得控除という概算経費が使え、節税に働くことも多く、年末調整で所得計算ができるというメリットがあります。
減価償却
個人では利益の有無にかかわらず強制償却ですが、法人は任意償却。法人は赤字のときに償却しないことも可能であるため、青色欠損金の期限切れによる切捨てを防止できます。
退職金
個人の場合、事業主・専従者ともに退職金の支給は必要経費として認められませんが、法人の場合は役員・従業員に対して、適正な額であれば経費として認められます。
2. 必要経費
社宅
賃貸契約を法人契約にすることにより、家賃の大半を法人の必要経費にすることができます。
日当
旅費規程を作成し、出張日当を支給することにより、法人は必要経費として処理でき、もらう方は税金がかかりません。
保険料
個人の場合、生命保険料を支払っていても5万円の経費にしかなりませんが、法人の場合は、支払保険料の全額経費になるものや半分経費になるものもあります。
消費税
資本金が1000万円未満の法人の場合には、設立から2事業年度は消費税の納税義務がありません。つまり、設立当初最大2年間はいくら稼いでも消費税を納めなくてもよいのです。
決算期
会社設立をすることにより、決算期を自由に選択できるメリットがあります。
欠損金の繰越控除
個人の青色申告における欠損金の繰越控除は3年間ですが、法人の青色申告における欠損金の繰越控除は9年間です。
3. 経営面
社会的信用
社会的な信用が大幅にアップします。 銀行取引、大企業との取引、ネットでの取引、従業員の雇用など会社にすると一般的に信用力の面で有利です。
助成金
創業、異業種進出に伴う労働者の雇い入れに対する助成金などが受けやすくなります。
社会保険
個人事業の場合、社会保険の加入は従業員が対象のため、事業主や家族従業員は国民健康保険・国民年金に加入しなければなりませんが、法人は一般的に有利な健康保険・厚生年金に加入できます。
有限責任
個人と法人は別人格となるため、もし法人で失敗しても基本的には個人の財産に影響しないというメリットがあります。万一、事業に失敗したとしても、責任は資本金の範囲内になります。但し経営者が法人の借入金の個人保証している場合などは別です。
事業承継
個人事業の場合、事業主が亡くなると即相続の問題となるため、個人名義の預金が凍結され、遺産分割協議が終了するまでの一定期間、業務に支障が生じることがありますが、法人であれば、株式の問題だけですみます。また、株式で法人の事業を買収・売却でき、法人の資産を移転できます。
相続税対策
法人の事業資金や所有財産は相続に影響影響されません。所有株式の贈与や譲渡で事前に相続税対策ができます。
経理の明確化
個人の場合は、私的なものを含めた金銭の出入りがその年の12月31日を過ぎるとすべて元入金(出資)とされるため、個人から事業資金として入れたお金も、事業資金から個人資金として出したお金も不明確になります。法人の場合は、事業と家計をはっきりと区分するので、経営成績や財務状態が明確になります。
会社設立のデメリット
1. 税金面
たとえ赤字になっても法人住民税均等割という税金(資本金1000万円以下の場合、7万円/年)が課せられます。
2. 必要経費
社会保険料
法人は社会保険の加入が強制されています。社会保険が適用されることは大きなメリットですが、その反面、保険料が高くなります。
登記費用
設立をはじめ、役員の変更、本店の移転、増資等、登記すべき事項の変更に時間と費用がかかります。
自動車保険料・電話の基本料金・ネットバンキング費用
法人化することにより高くなる日常経費があります。
会計事務所費用
個人の所得税の申告よりも法人税の申告のほうが複雑で、申告書類などの作成に手間と時間がかかるというデメリットがあり、会計事務所に依頼する場合には費用がかかります。
3. 経営面
会計処理
事業と家計が分離するため、会社資金を私的に使うことに制約がつきます。
役員の責任
事業上の損害に対して相応の責任を負うことになります。
会計帳簿が必要になる
個人事業よりも厳密な会計ルールに従った帳簿処理が求められます。
法人化のタイミングは、何を最優先に考えるかということかもしれません。