課税資産の譲渡等にのみ要するもの

こんにちは、リブロス総合会計事務所のスタッフSです。

今のところ、2019年10月に10%になりそうな、消費税ですが、居住用建物の消費税の仕入税額控除が認められなかったケースが増えており、訴訟に発展しているものもあるようです。

 事業者が納付する消費税額は、課税売上に係る消費税額から課税仕入れに係る消費税を控除して計算します。この控除の場面において、一括比例配分方式と個別対応方式があります。個別対応方式は、課税仕入れを3つの区分に分けます、1つは、「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」2つめは、「その他の資産の譲渡等にのみ要するもの」3つめは「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの」です。この3つの区分は、課税仕入れに係る消費税額の控除額がかわります。

1、「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」に該当すれば、課税仕入れに係る消費税額の全額の控除が可能、

2、「その他の資産の譲渡等にのみ要するもの」に該当すれば、全く控除できず、

3、「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの」に該当すれば、事業者の全体の課税売上割合に応じた部分金額だけを控除します。

 居住用建物の譲渡等となればその敷地も対象となることも多く、その金額は小さくないため、1、か3、かに該当するかは、事業者にとっては、深刻な問題です。

 訴訟になったケースは、課税仕入れが3、と判断された理由に、居住用建物から賃料収入が発生しているためという指摘があるようです。しかし、消費税の課税仕入れの3つの区分は、居住用建物から結果的にどのような収入発生したかで判断されるものではなく、仕入れ時の事業者の目的で判断されるものです。

 本来の消費税の仕組みは、事業者は消費税を負担するものではなく、消費者から預かった消費税から、支払った消費税を差し引いて納付したり還付を受けたりするだけのもののはずでした。しかし、仕入税額控除が制限されることで、事業者が消費税を負担することになり税務訴訟などの問題となっています。