法人税法上の圧縮記帳と少額減価償却資産の損金算入の特例の重複適用

こんにちは!リブロス総合会計事務所のスタッフSです。

今回は、IT導入補助金の交付を受けることになったこんな事例についてです。

 IT導入補助金を活用し、50万円のソフトウェアを購入、補助金25万円を受給される場合の事例です。このソフトウェアについて、法人税法上の補助金で取得した固定資産の圧縮額の損金算入という規定を適用するとした場合、その圧縮記帳適用後のソフトウェア取得価額25万円について、法人税法上の中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例を適用することはできるのか、という疑問がでてきます。

 結論からいうと、圧縮記帳適用後のソフトウェア取得価額25万円については、法人税法上の中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例を適用することが可能です。

 つまり、措置法ではなく、法人税法上の圧縮記帳と少額減価償却資産の損金算入の特例の重複適用できます。

 

 

 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(簡単に言うと、中小企業者等が、取得価額が30万円未満である減価償却資産の全額を損金の額に算入することができるという租税特別措置法上の特例)は、他の租税特別措置法上の特別償却、税額控除、圧縮記帳との重複適用はできないこととされています。このため、租税特別措置法上の圧縮記帳とこの少額減価償却資産の特例は併用できません。しかし、措置法上の圧縮記帳ではなく、法人税法上の圧縮記帳の重複適用は可能とされています。

 したがって、IT導入補助金を活用して購入する予定のソフトウェアについては、IT導入補助金受給額の範囲内で圧縮記帳を適用し、その帳簿価額を減額することができる上に、さらに、その減額後の帳簿価額が少額減価償却資産の損金算入の特例の適用要件を満たしていれば、その少額減価償却資産の損金算入の特例も適用することが可能ということになります。