法人の欠損金について

こんにちは、渋谷の税理士事務所、リブロス総合会計事務所のRです。
東京は梅雨まっただなか、時折見える日差しがうれしくもあり、近く訪れる夏の猛烈な暑さも喚起させる、そんな季節です。

 

さて、本日は「欠損金」についてお話しします。


経営者の方から「欠損金は何年間使えますか」という趣旨の質問を受けることは、よくあります。
結論から先に申しますと、2019年現在、法人の欠損金の繰越控除の期間は10年です。

 

さて、では欠損金とは、何でしょうか。
簡単にいうと、税務上の赤字のことです。税務上の、というのは、会計上の赤字とは少し考え方が違うからです。


多くの中小法人の場合、税引前損失と、欠損金は、ほぼイコールになりますから、概ねそのようにとらえていただいて結構です。

欠損金は翌年以降の黒字と相殺できます。これが冒頭の「欠損金を使う」ということの意味です。
1年目が赤字であった場合、翌年の所得から一定額の欠損金が相殺され、相殺後の所得に法人税が課されます。
経営が安定しない状態では、単年度の所得のみに課税があると、税の不公平が生まれてしまうため、このような規定が設けられています。

 

欠損金について、一番大事な点は、欠損金は無制限に使えるのか、という論点です。 
例えば前年に100万円の赤字が出て、今年は100万円の黒字だったとします。
プラスマイナス0で、今年は法人税がゼロ、というのは、正しいでしょうか。
実は場合によってはこれは間違いになります。

上記のケースでは、中小法人かどうかで、ルールが異なります。
中小法人(資本金1億円以下・大法人との完全支配関係なし)であれば、上記のプラスマイナスゼロで、正しいです。
しかし、資本金1億円超(もしくは大法人との完全支配関係あり)の法人であれば、欠損金の相殺額は、今年の所得の50までです。
大企業については、欠損金の無制限の使用は認めていないんですね。

 

もう一つ大事な点、欠損金の繰り越しは、青色申告をした年度にしか認められていません。
申告は期限内に、正しく行うことが大切ですね。


それではまたの機会に。